『音読×直読直解』の英語専門塾GCA・代表のグッチャンです。
英検「合格」はゴールではなくスタート シリーズ・ライティング「意見論述問題(Opinion Essay)」の「2つの理由」の考え方についての最終回です。まさに英語で言う Last but not least つまり、最後になったけれども最も大切なポイントをお伝えします。
「比較の軸(compare & contrast)」を正確に取る
2つの理由(論点)が適切な主張として成立しない大きな原因のひとつに、比較する対象、つまり逆の立場の主張を正確に捉えていないことが挙げられます。
これについても具体的なトピックで考えてみましょう。
These days, many novels are turned into movies. Do you think the number of such movies will increase in the future?
(英検2級/2024年度第1回ライティング問題より)
問われているのは「小説原作の映画は今後増えていくか?」です。
実際、小説が原作の映画『ハリー・ポッター』シリーズや『容疑者Xの献身』などは大ヒットしましたね。
今回は賛成の立場で2つの理由を考えてみましょう。まず1つめの理由としては上に挙げた作品のように、
① 大ヒットする可能性が高い
という論点が思いつきませんか?
なぜなら、ふつう映画化されるのはベストセラーの小説だからです。
これは適切な論点です。なぜなら、知名度のないオリジナル脚本の映画では大規模なプロモーション(広告宣伝)が必要になるのに対し、原作の小説が人気なのであればそのファンが映画も観る可能性が高いからです。つまり、下の図のような「小説原作の映画 ⇔ オリジナル脚本(の映画)」という比較の軸が成立しているわけです。

問題は2つめの理由です。ここで「うーん、小説・映画・小説・映画……」と考えていると、うっかり下のような論点を思いついてしまいませんか?
② 映画には映像や音声があるので、小説より表現が多彩で面白い
残念ながら、これは論点としては不適切です。なぜなら「小説原作の映画 ⇔ オリジナル脚本(の映画)」から「映画 ⇔ 小説」へ「比較の軸」がズレてしまっているからです。

2つめの論点も1つめと同じ「小説原作の映画 ⇔ オリジナル脚本の映画」という比較の軸で考える必要があります。

すると、たとえば以下のような論点が出せませんか?

このように、適切な論点を立てるためには、逆の主張との「比較の軸」をつねに意識することが大切です。
適切な論点を決める基準とは
最後のポイントです。
そもそも意見論述(Opinion Essay)の解答として適切な論点を決める基準とはいったい何なのでしょうか?
繰り返しますが、意見論述問題はあくまでディベートです。賛成・反対のどちらからも主張できるトピックが問われます。
つまり「太陽は東から上ると思いますか?」「次回のワールドカップでイングランドが優勝すると思いますか?」といった科学的事実の確認や単なる予想を求めるようなトピックは、英検に限らず、大学入試でもTOEFLでもIELTSでも出題されません。
問われるのは「経済政策」「外国語教育」「AIの発展」など、メディアで盛んに議論され、専門家のあいだでも賛否が分かれるような社会的なテーマです。
このような論題で自分の意見を的確に主張するには、「客観的な事実やデータにもとづいた理由(論点)」でサポートすることが重要です。
では、社会的なトピックで、論点(理由)が「客観的な事実やデータ」にもとづいているかどうかは、どういう基準で判断されるのでしょう?
たとえば先ほどの「小説原作の映画は今後増えていくか?」というトピックでは、上記の論点で賛成の主張ができる一方で、「出演する俳優陣が原作小説のイメージと違う」「ストーリーやエンディングが既にわかっているので面白くない」といった理由から反対の主張につなげることもできます。
つまり、社会的なトピックでは、「太陽は東から上る」「水は100度で沸騰する」といった誰もが認める客観的事実だけが論点になるわけではありません。
だからといって、「実は出版社が映画製作・配給会社を裏で操っているから」とか「原作小説を買った人には映画も観る義務があるから」といった都市伝説のような荒唐無稽な論点は、意見論述問題(Opinion Essay)の解答として認められません。
論点が適切かどうかを判断する基準は、ずばり「ふつうの人たちのおよそ7割が理解できるかどうか」です。
論点を考えるときは、つねにこのことを頭に入れておいてください。
追記: 80~150語のライティングは、はたして長いのか?
すみません、もうひとつだけお伝えしたいことがありました。
英検2級・準1級のライティング問題では、80語~150語の長さで解答することが求められます。実際に指導していると、多くの中学・高校生が「そんなに長い英文は書けない」と頭から思い込んでいたり「何を書いていいのかわからない」と悩んでいたりします。
ですが、よく考えてみてください。たとえば約120語の英文を書くには、およそ何個のセンテンスが必要でしょうか?
…
…
1つのセンテンスが12語前後だとすると、およそ10個です。
たったの10文です。さらにパラグラフごとに、
- 導入(Introduction) で2文
- 論点1(Body 1)で3文
- 論点2(Body 2) で3文
- 結論(Conclusion)で2文
と配分するとします。
本論の2つのパラグラフが難所かもしれませんが、それぞれ
- キーセンテンス(論点)
- その具体例(or 根拠)
- 補足説明
という構成にするのが一般的です。
では、実際に「小説原作の映画は今後増えていくか?」というトピックへの解答を約120語で作成してみましょう。
These days, many novels are turned into movies. Do you think the number of such movies will increase in the future? (英検2級/2024年度第1回ライティング問題より)
■ 導入(2文)
① 意見表明: 小説原作の映画は今後増える
② 理由の予告: 理由は2つ
■ 論点1(3文)
③ キーセンテンス: 集客(興行収入)が見込める
④ 根拠: 映画化されるのはベストセラー小説
⑤ 補足: 原作小説のファンは映画にも興味を持つ
■ 論点2(3文)
⑥ キーセンテンス: 人気小説や古典小説はストーリーの質が高い
⑦ 根拠: 特に古典小説は時の試練を経ている
⑧ 補足: 長年の人気が質の高さを裏付けている
■ 結論(2文)
⑨ 理由の総括: 小説は映画会社にとって魅力的
⑩ 意見の再表明: したがって、小説原作の映画は今後増える
びっくりしませんでしたか? 120語前後では、なんとたったこれだけの内容しか書けないんです。
ですから、英文を書き始める前の構成メモは、パラグラフ(段落)レベルにとどまらず、センテンス単位でしっかり構成しておくことが、優れたオピニオン・エッセイを書く重要なテクニックです。
参考までに、完成した英文の解答例を掲載しますね。











