「音読×直読直解」の英語専門塾GCA・代表のグッチャンです。
英検「合格」はゴールではなくスタート シリーズ。ライティング問題の定番「意見論述問題(Opinion Essay)」についての話を続けます。問題では、自分の主張をサポートする「2つの理由」を書くことが求められます。2つめの理由…なかなか思いつきませんよね。
立場・視点を変える
実際、生徒さんのライティング指導をしていると、この「2つめの理由が思いつかない問題」はかなり深刻です。
先に恐ろしい事実を伝えておくと、英検1級や大学で提出するレポート等では、ひとつの主張に対して「3つの理由」を書くことが求められるので、今から覚悟しておいてくださいね。
確かに、ひとつだけならすぐに思いつくことが多いですよね。
簡単なトピックで具体的に考えてみましょう。
Do you think convenience stores should stay open 24 hours a day?
(コンビニは24時間営業すべきか?)
とりあえず、「賛成」の立場で考えると、おそらく…
① 夜中でも買い物ができて便利だから
という理由が簡単に思いつくと思います。
では、2つめの理由は?
…
…
これまでの指導経験から、とりわけ中学生が2つめの理由としてつい書いてしまうのが、
② いつでも買い物ができて便利だから
もちろん、①と②は同じ内容なので、これでは「2つの理由」を挙げたことにはなりません。
この解答を見て「もう少し考えればいいのに(笑)」と笑うのは簡単です。しかし重要なのは、なぜ多くの中学生がこのような一面的な理由しか思いつかないのか、その原因を明らかにすることです。
答えは単純。多くの中学生にとって、コンビニは「買い物をする場所」でしかないからです。つまり、「お客さん」の立場だけで理由を考えてしまうのです。
まだ仕事やアルバイトの経験がない中学生には想像するのが難しいかもしれませんが、コンビニには、お客さんの他にも、店長さん、アルバイトの店員さん、コンビニチェーンを展開する企業の経営者、近くに住んでいる人たちなど、様々な立場の人たちが関わっています。
英検4級~2級・準1級は、主に中学・高校生が受験するレベルの英語試験ですが、とりわけライティングやリスニングの問題では、社会人の経験や知識が要求される問題が頻繁に出されます。
例えば、ライティングのトピックとしてよく使われる「リモートワーク」「転職」「ワークライフバランス」など、普通の中学・高校生にはあまりピンときませんよね。
そこで、想像力を使って「立場や視点を変える」のです。
例えば「コンビニは24時間営業すべきか?」というトピックなら、店長さんの立場になってみましょう。
すると、他のお店が閉まっている深夜も営業することで「売上が増える」という理由が思いつきませんか?
逆の意見で考え直す
立場や視点を変えてみても、どうしても2つめの理由が思いつかない場合があります。
そういうときは、あえて自分自身の意見を曲げ、賛成なら反対へ、反対なら賛成へと立場をひっくり返してみましょう。意外なほどすんなりと2つの理由が出てくることがあります。
もちろん、ライティング問題の本来の目的は「自分自身の意見を論理的に主張できるか」をテストすることです。ですからこのやり方は、「邪道」です。
しかし、英検はあくまで英語力そのものを測定する試験。あなたの意見や考え方が正しいかどうかは関係ありません。そこは割り切って「2つの理由を確実に書ける」立場で解答するべきです。
思い入れのある意見が裏目に出ることも…
このことに関連して注意点をもうひとつ。
以前の記事で触れたような「一度も考えたことすらないトピック」ではなく、逆にあなた自身が強い関心を持っていて、「探究」の授業でレポートを書いたこともあるようなトピックが出題されたとしましょう。 おそらく多くの人が「よし、これなら書ける!」と自信を持って書き始めるはずです。
ところがここに落とし穴があります。
あなたのその「しっかりとした自分の意見」は、母語である日本語で深く考え抜いて、様々な調べ物をした上でたどり着いた、かなり高度な内容です。
英検準2級〜2級レベルの英語力では、あなたが日本語で考えた深い内容を、英語で正確に表現するのは、残念ながらまだまだ難しい場合が多いのです。
悔しいかもしれませんが、英検は単なる英語の試験です。やはりここは割り切って「邪道」で、つまり「英語で2つの理由を確実に書ける」側で解答しましょう。
実を言うと、グッチャン自身、この「邪道」を使ったことがあるんですね。
まだGCAを開校する前、英検1級を受けたときの話です。ライティングのトピックが、確か「民主主義国家は独裁国家を強制的に民主化すべきか?」といった内容でした。
政治的な議論はこの記事の本筋から外れるため、自分の意見がどちらだったかは伏せます。
ただ、大学時代に国際関係論を少し勉強したこともあり、その後も世界各地で深刻な事態が起きるたび、様々な専門家やジャーナリストの著作を読んでは考え続けていた、大変思い入れの強いテーマでした。
どちらの立場で書くべきか迷いに迷いましたが、最終的には「英語でより正確に表現できる」シンプルな方の立場を選びました。
もしこれが大学時代のレポートだったら、関連論文や最新の情報を徹底的に調べ、心から納得のいくオピニオン・エッセイを書いたはずです。
しかし、これは英語のテストです。採点者は英検の試験官であって、国際関係論の教授ではありません。合格の可能性を上げるためには、複雑で専門的な議論よりも「減点されにくいシンプルな主張」をする必要があります。心にもない無難な内容を解答用紙に書きながら感じたあのときの悔しさは、今でも覚えています。
まあ、そのおかげで合格できたんですけどね、たぶん。



