「音読×直読直解」の英語専門塾GCA・代表のグッチャンです。
英検「合格」はゴールではなくスタート シリーズ・長文読解編(続き)です。今回は「重要な部分だけしっかり読む」というアドバイスについての注意。もちろん、文章中の「重要な部分」は「重要」なのですが…。
「重要な部分」はどこにある?
長文読解のアドバイスとして、「重要な部分だけしっかり読む」と言われることもよくあります。
いわゆるパラグラフ・リーディングです。各段落ごとの主張がまとめられている「キーセンテンス」に注意して読むということですね。パラグラフ(段落)の最初のセンテンスだけを読む、という極端なテクニックを主張する人もいます(実は、大学で読む学術論文にはそういう構成のものもあります)。
しかし、そのキーセンテンスがどれなのか、どうやって判断すれば良いのでしょうか?
以前、とある英語参考書を読んでいると、ずばり「キーセンテンスの探し方」が書かれていました。曰く、
パラグラフのキーセンテンスの位置は以下の3か所のどれかです
① パラグラフの冒頭
② パラグラフの最後
③ パラグラフの途中
…はい、確かにおっしゃる通り。とても正確なアドバイスです。
キーセンテンスがパラグラフのどこかにある限り、最初のセンテンスか最後のセンテンスか、もしくはそれ以外のセンテンスのどれかがキーセンテンスであることは間違いありません。
問題は、その3つのうちのどれがキーセンテンスかわからないことなんですよね。
キーセンテンスだけが太字になっていたり、マーカーで強調されているわけではありませんから。
つまり、キーセンテンス、あるいは重要な部分を読むためには、どこが重要なのかを判断できるだけの読解力が前提なのです。
目立たない一語がカギになる場合も
さらに厄介なのは、重要な部分(キーセンテンス)を判断する手がかりとなる語が、必ずしも重要そうな単語には見えない場合があることです。
たとえば、
however/But/On the other hand
といった逆接のつなぎ言葉(接続副詞/接続詞/ディスコースマーカー)の後のセンテンスは重要だ、というのはおそらくみなさんの多くが習ったことがあると思います。
確かに一般論が述べられた後に、「ところが(however)実はこうなんですよ」と筆者の重要な主張が続くことはよくあります。
では、despite ならどうでしょう。同じ逆接の意味を持ちますが、前置詞なのであまり目立ちません。実際、生徒さんを指導していて、despiteの一語を見逃してしまったせいで文脈がわからなくなるケースによく遭遇します(以下の2つのパッセージを見比べてみてください)。


また、rarely や hardly といった単語にも要注意です。とりわけ rarely はreally とスペリングがよく似ているので、読み違いが多発します。以下の2つの例文で確認してみてください。
① I rarely agree with his opinions.
② I really agree with his opinions.
2つのセンテンスを見て、こんなに簡単な単語を間違うわけがないと思った人もいるかもしれませんね。
ですが、試験本番のプレッシャーの中で長くて難しい文章を読んでいると、うっかり見間違えることが本当に多いのです。言うまでもなく、①と②ではほぼ逆の意味になるので、この読み違いは致命的です。
ではどうすればいいのか?
こういうことを書くと、
「じゃあ、500語以上の長文でも一言一句じっくり精読しないといけないの? そんなことしていたら時間が足りなくなってしまう」
と感じた人もいるでしょう。
半分は正しくて、半分は誤解です。
これまで書いてきた通り、単語をひとつ見落とすことが重大な読み違いにつながることが多々あります。どんなに長い文章でも、完全に無視していい単語やセンテンスなどありません。
ただし…
ネイティブスピーカーを含めて英語の読解力が十分にある人は、文章全体を隅から隅までじっくりと時間をかけて読んでいるというわけでもありません。
重要だと考えた部分は丁寧に読むし、すでに知っている情報や具体例などはさっと流します。
注意しなくてはいけないのは、そういう人が文章の中で重要な部分を正確に見分けることができるのは、言葉を飛ばさず、文章全体をひと通り読んで理解しているからです。
「重要な部分をしっかり読む」というアドバイスそのものは決して間違いではありません。
重要な部分をしっかり読むためには、まずひと通り素早く正確に文章全体を読みこなしてどこが「重要な部分」なのかを正確に見分ける読解力が前提なのです。
文章を読む前から重要な部分だけがわかる特別なテクニックなどありません。
(続きます)


