次に,なぜ現在のことなのに「仮定法過去」なのか,という問題です。
英語でも日本語でも,私たちが何かを書いたり話したりするとき,基本的にそれは事実(現実)にもとづいています。だから,相手が言ったり書いたりすることについても,とりあえずそれは事実(現実)であると考えます。
ところが,私たちはときに事実(現実)ではないことを言ったり書いたりします。
ところが,私たちはときに事実(現実)ではないことを言ったり書いたりします。
ウソをつくという意味ではありません。私たちがウソをつくときは,あくまで相手に事実(現実)だと思い込ませたいわけです。だから事実(現実)を表す場合と同じ表現を使います。
そうではなく,伝える相手にも事実(現実)ではないとわかってもらった上で,あえて事実(現実)ではないことを言ったり書いたりするケースです。
それが「仮定」です。「想像」「空想」「妄想」と言ってもよいでしょう。
たとえば,宝くじで1億円当たることはめったにありません。それで,私たちは空想します。
「いま宝くじで1億円当たったら,仕事なんてやめるのに」
実際には宝くじなんて当たっていませんからこれは仮定(空想)ですね。だから大変残念なことに,絶対に仕事をやめたりできません。
こういう場合,「宝くじに当たる」というのが事実(現実)なのか仮定(空想)なのかを区別しないといけません。
そこで使われるのが動詞の「過去形」なのです。
過去形は本質的には「距離感」を表現します。
過去形は本質的には「距離感」を表現します。
つまり,「現在」から距離があるときは過去のことを表し,「現実」から距離があるときは過去のことではなくて「空想(仮定)」を表現するのです。
実はこれは英語独特のルールではなく,日本語でも同じです。さっきの例文を考えてみましょう。
「いま宝くじで1億円当たったら,仕事なんてやめるのに」
はっきりと「いま」の話であるにもかかわらず,「当たる」ではなく「当たった」と過去の表現をしています。つまり,これは「現在から」ではなく「現実から」距離がある話をしているのです。
実はこれは英語独特のルールではなく,日本語でも同じです。さっきの例文を考えてみましょう。
「いま宝くじで1億円当たったら,仕事なんてやめるのに」
はっきりと「いま」の話であるにもかかわらず,「当たる」ではなく「当たった」と過去の表現をしています。つまり,これは「現在から」ではなく「現実から」距離がある話をしているのです。
仮定法のポイントは,過去形のこの使い方です。
だから,たとえ英文が if で始まっていても,過去形を使わない文は決して仮定(空想)を表しているわけではありません。つまり仮定法ではないのです。
If you study hard, you will pass the exam.
(一生懸命勉強すれば,試験に通るよ)
これは決して空想ではないというのはわかりますよね。実際,あなたがこれから一生懸命勉強すれば試験に通ります。
つまり,十分に実行できる条件であって,仮定(空想)ではないのです。「一生懸命勉強する」→「試験に通る」という流れです。ただし,試験に通るのは100%確実とは言い切れないので,助動詞 will を使って確率を下げています。
では,この文を少し変えて現実にはありえない空想にしてみましょう:
If you studied hard now, you would pass the exam.
(一生懸命勉強してたら,試験に通るんでしょうけどね)
これは仮定法です。「一生懸命勉強する」→「試験に通る」という流れのまま,study → studiedとすることで「現実からの」距離を表し,さらにwill pass → would pass とすることでpass (合格)する確率をさらに下げています。
では,この文を少し変えて現実にはありえない空想にしてみましょう:
If you studied hard now, you would pass the exam.
(一生懸命勉強してたら,試験に通るんでしょうけどね)
これは仮定法です。「一生懸命勉強する」→「試験に通る」という流れのまま,study → studiedとすることで「現実からの」距離を表し,さらにwill pass → would pass とすることでpass (合格)する確率をさらに下げています。
この文は,どういう状況で出たセリフでしょうか。
いちばんイメージしやすいのは,学校の先生からの説教か皮肉です。
実際には,先生からこのセリフを言われている生徒はまったく勉強していないし意欲もない。だから試験に通る確率は非常に低い(助動詞の現在形 will では確率が高すぎる)のです。
(続きます)