勉強法

インプットのためのアウトプット

ちょっとまぎらわしい表現ですが「アウトプットのためのインプット」の間違いではありません。
 
アクティブラーニング・4技能化への流れを「インプット重視からアウトプット重視へ」と短絡的に捉える危険性についての話です。
 
今回とり上げるのは,英語科でのアクティブラーニングの第一人者である山岸崇雄先生(東京都立両国高校)の著書『なぜ「教えない授業」が学力を伸ばすのか』です。
 
本書では様々なアクティブラーニングの授業が紹介されています。
 
とりわけ印象的なのが「問い」から始まる授業。リーディング教材を解説する前に,まず生徒に「問い」を投げかけ,授業の最後に自分なりの答えを英語で発表させるというものです。
 
また,課外活動の創作英語劇に取り組むことで生徒の英語力が驚異的に伸びたというエピソードも興味をそそります。
 
ですが全体をよく読むと,そのような新しいタイプの指導が効果を上げるには,やはり十分なインプットが前提とされていることがわかります。引用します(傍線部は本欄):
 
「(創作英語劇の)演出に関わったとき,台本をすべて暗記しました。中高で習う文法が網羅されており,英語にも自信が持てるようになりました(東大に合格した生徒の感想)」
 
「(英語劇の)指導の中にも『100回読み』という練習方法があります。文字通り,自分のセリフを壁や鏡に向かって100回練習するものです。…よく聞かれる『英単語がわからない』『英単語が覚えられない』という悩みには,『100回やってみたら』と答えるようにしています
 
 
いかがでしょうか。暗唱に100回音読…,まさに典型的なインプットです。アクティブラーニングや四技能化 = アウトプットへの移行,という印象がまったくの誤解であることがわかります。
 
では,これらのアクティブラーニングでのインプットと,従来の授業における教科書や単語集・構文集を使ったインプットとの違いは一体どこにあるのでしょう―。
 
……
 
答えは「アウトプットへの意識」があるかどうかです。
 
ひと口に単語や表現を暗記すると言っても,それをただの筆記試験対策として100回音読するのと,舞台でしゃべる・授業で発表するという意識のもとに100回音読するのとでは効果がまったく違います。
 
ただし,ここで注意しないといけないのは,決してアウトプットそのものが英語力を伸ばしているのではないということです。当たり前の話ですが,人はインプットしたものしかアウトプットできません。アウトプットそのもので何か新しい知識を学ぶことは決してできません。
 
したがって,目指すべき新しい授業やテストの本質は,ただ闇雲にアウトプットさせることではないのです。
 
重要なのは,インプットへの意欲が効果的に引き出せるような「アウトプットへの意識」を持たせることができるか,です。