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【徹底解説】九州大 2020 第1問・その6 ~英文解釈は『文脈』をヒントに

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福岡市天神の英語専門塾GCA・代表のグッチャンです。第4パラグラフで立てられた仮説を検証するため,筆者らは新しい実験を設計します。

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実験②の設計 ~第5パラグラフ

筆者らの仮説を再確認すると―

実験①参加者(被験者)が事前に「自虐ネタ」を披露すると”心のブレーキ”が外れてアイデアを出す力が伸びたように,

集団(teams)での実際のブレーンストーミングでも,まずお互いに「自虐ネタ」を話すことで他のメンバーの目が気にならなくなって,集団としてアイデアを出す力が伸びるのではないか,というものでしたね。

そこで筆者らは以下のような実験②を考えます:

(1) さまざまな業種の企業から集められた93名の管理職を3人ずつのチームに分ける。

(2) それぞれのチーム内で互いに「自己紹介」する。その際,

 ➢ 半分のチームには「自虐ネタ」を話すよう

 ➢ もう半分のチームには「自慢話」をするよう

 指示する。

実験②の結果は…

筆者らはそれぞれのチームの会話がどのように流れていくか注意深く観察します。すると…

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という大きな違いが見られました。

そして実験②は最終段階に移ります:

(3) 10分後,それぞれのチームに「段ボール箱の新しい使いみち」について10分間のブレーンストーミングしてもらい,実験①と同じ基準(アイデアの量と多様さ)でチームの創造性を測定する。

結果は…

「自虐ネタ」チーム(the “embarrassment” teams)の方が,アイデアの量(fluency)で26%,アイデアの多様さ(flexibility)で15%「自慢話」チームを上回っていたのです。

またしても筆者らの仮説実験で裏付けられました

そして結論(conclusion)へ

以上の仮説と検証を経て筆者らは―

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…という結論に至りました。

前半の内容をしっかりと理解していれば,Body2(本論2) からConclusion(結論)まではスムーズに読めると思います。

構文の知識も重要だけど…

問5 で本文の最後のセンテンス(下線部3)の和訳が要求されます:

As uncomfortable as this may seem, especially among colleagues you would typically want to impress, the result will be a broader range of creative ideas, which will surely impress them even more.

まず,冒頭の as …as ~ の部分ですが,最初の as がなければ素直に

As this may seem uncomfortable

倒置されたものとわかります。こういう構文の場合,as は「~ではあるが」 という though に近い意味になります。

(以下,三省堂『ウィズダム英和辞典』より)

上記の引用でも補足されていますが,アメリカ英語では問5のセンテンスのように, as (形) as S+V という形が用いられます。

(以下,安藤貞雄『現代英文法講義』より)

確かに多くの英文解釈の参考書の後ろの方にも,難解な構文のひとつ(X as SV → though SVX)として挙げられてはいます。

もちろん,難しい構文を知っておくことは重要です。

でも,この構文をたまたま知らなかった場合はどうすればいいのか?

どんなに勉強していても知らない単語が必ず出てくるのと同じように,知らない構文が出てくることも当然あります。ハイレベルな単語集や構文集を学習していても,その内容をひとつ残らず暗記することなど不可能です。

そういうときは,あやふやな構文の知識で対応するよりも

文脈から判断して意味をとる

のです。

たとえばこのセンテンスを解説すると,

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となります。

this はもちろん直前のセンテンスに出てくる「自虐ネタを話すこと(telling a self-embarrassing story)」ですね。

ここで,

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という流れがあります。これを 「as = ~なので」という意味に取ると明らかにおかしいですよね。

文脈から判断して,ここは「逆接」でつながないと意味が通りません。

したがって,まず直訳すると…

「これは不愉快に思われるかもしれないけれども,

とりわけ同僚に対してはふつうは良い印象を与えたいと思っているだろう(から),

その結果はより広い範囲に及ぶ創造的なアイデアとなり,

それは同僚にさらに良い印象を確実に与えることになる」

日本語として意味の通る表現に直すと…

「特に同僚に対してはふつうは良い印象と与えたいと思っているだろうから,これは不愉快なことと感じられるかもしれないが,(そうすることで)結果として多様性に富んだ独創的なアイデアを出すことができ,それは確実に同僚にもっと良い印象を与えることになる」

九大は決して受験生に,有名な英文解釈の参考書を隅から隅まで暗記していることを求めているわけではありません。

万一まだ知らなかった構文や単語が出てきても,文章全体の流れから適切に解釈する能力が求められているのではないでしょうか。

(2020 第1問 終わり)

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この記事を書いた人

Good Chace Academy 代表/講師。英検1級。TOEICスコア960。1976年生まれ。弘学館中学校・高等学校,国際基督教大学(ICU)教養学部卒。高2で英検準1級合格,高3でTOEICスコア825,TOEFL(旧PBT)スコア590。ICU卒業後,一橋大学大学院商学研究科に進学し経営戦略論・経営組織論を学ぶ。2011年,Good Chance Academy設立。4技能化やアクティブ・ラーニングといった新しい言葉ばかりが先行する風潮の中でも,正確な音読・リスニングの徹底による読解力の養成を基本に置いた指導方針を貫き続ける。