【集中講座】入試本番まであと何年?― 英語を武器にする1週間 講座の内容を見る

Itは「それ」ではありません

「it=それ」は間違い?英語の代名詞itの本当の役割と使い方を徹底解説。「それ」と訳すと不自然になる理由や、he/she以外の単数をすべて引き受けるitの正体を、具体的な例文とともに分かりやすく紹介します。

「it=それ」と思い込んでいませんか? 実はitに決まった日本語訳はないのです。豊富な例文とともにitの本当の使い方を紐解き、英語の感覚をブラッシュアップしましょう!

「それ」は that

「it=それ」というのは間違いです。何かを指して「それ」と言うときにはthatを使います。

何かおいしそうなものを食べている人に対して「それは何ですか?」とたずねるとき、

“What’s that?”

とは言えますが

“What is it?”

とは言えません。

実は、Itには、「dog=犬」のような一対一で対応する日本語の単語がないのです。

ですから、人称代名詞 it は訳語を覚えるのではなく、使い方を理解することが大切な単語です。残念なことに、英語学習の最初の段階で「it=それ」という間違いが多くの学習者の頭に刷り込まれてしまっています。

it は it

次の英文を見てください。It を「それ」と訳すと変な日本語になり、「それ」を消すと普通の日本語になるのがわかります。

① “You like that shirt, don’t you?”  “Yes, I like it very much.”

「君はそのシャツが好きなんでしょう?」「うん、それが大好きだよ」

② “Look at my hand. It’s very dirty.”

「私の手を見てよ。それはすごく汚れている」

③ “That baby is cute. It looks like a boy.”

「あの赤ちゃんかわいいね。それは男の子のようだね」

④ “There’s someone over there. I wonder who it is.”

「あそこに誰かいる。それは誰だろう」

⑤ “It’s five o’clock.” “It’s still dark.” “It’s freezing.”

「それは5時だ」「それはまだ暗い」「それはすごく寒い」

⑥ “Where does it hurt?”  “It hurts here.”

「どこでそれが痛むのですか?」「ここでそれが痛みます」

it が「それ」ではないことがわかりましたでしょうか?

It の意味を考えてはいけません。It は it でしかないのです。

it の正体

では、「それ」でなければ it とは何なのでしょう?

例文 ① ② では、直前に話題にのぼった人間ではない単数のもの that shirt と my hand の代わりをしています。つまり、he にも she にもならない単数のものを it で表しているのです。

③ ④ では、直前に話題にのぼった人ではあるけれど性別が不明の that baby と someone の代わりをしています。この場合、he なのか she なのかがわからない単数の人 を it で表しています。

⑤ ⑥ では、動詞 is と動詞 hurt(s) の主語です。このitには「意味」はありません。英文は主語がないと文にならないので、形式的に主語として it を加えているだけです。

⑤ のような it を「時間や天気や寒暖などをいうときの it の特別用法」と習ったことがある人が多いと思います、別に特別なわけではありません。

なぜなら、他の人称代名詞 (I/we/you/he/she/they) のどれにも当てはまらないものはすべて it になるからです。

英語には三人称単数の人称代名詞が he と she と it しかありません。ですから、heでも she でもないか、あるいは he なのか she なのか決められない単数のもの/人はすべて it になるのです。つまり、「一人の男性→he」「一人の女性→she」「それ以外の三人称単数のものすべて → it」ということです。

いろいろな例文で確認してみましょう

さらに例文を挙げていきます。

“What’s this?”  “It’s my wallet.” 

「これは何なの?」「ぼくの財布だよ」

“What’s that?”  “It’s Jim’s bag.”

「あれ[それ]は何なの?」「ジムのカバンだよ」

“Oh, no! It’s raining.”

「あら、いやだ。雨が降っている」

“I like it here.”

「ぼくはここが好きだ」

“Can I ask you something?”  “Sure, what is it?” 

「ちょっと聞いていい?」「もちろん。何だい?」

最後にちょっとしたクイズを出します。下の2つの文の違いは何でしょう?

“Who is it?”

「誰なの?」

“Who are you?”

「誰なの?」

……

……

正解は、“Who is it?” =「ドアをノックされたときなどの返事」です。

ドアの外にいるので その人が he なのか she なのかまだわかりませんよね。

一方で、

“Who are you?” =「目の前にいる相手が誰なのかたずねる表現」です。

直接話している状況なので、三人称(he/she/they/it)ではなく、二人称 you を使います。

いかがでしたか? It は「それ」ではありませんよ。


GCA特別顧問。元中学校・高校英語教員。福岡県立福岡高等学校,西南学院大学文学部外国語学部英語専攻卒。福岡県立高校2校および私立弘学館中学校・高等学校で40年以上にわたり教鞭をとり,徹底した発音指導と基礎基本の定着を重視する独自の指導で大きな成果を上げる。高円宮杯第70回全日本中学校英語弁論大会中央大会では指導した生徒が決勝進出を果たす。1994年,The Japan Times社の英字新聞「週間ST」主催の英語暗唱大会で優勝。以後,英語指導者を対象とした発音指導を始め,小学校教員・中高英語教員・塾講師などを多数指導。アメリカ発音,イギリス発音に加え,事実上の世界標準である間大西洋アクセント(transatlantic accent)を自在に操り,フランス語・中国語・韓国語等の発音についても造詣が深い。2019年,第3回OPETS杯争奪全国英語スピーチ暗唱コンテスト優勝。国際英語発音協会認定英語発音指導士®。EPT®英語発音テスト 100点。英語発音技能検定EP-Pro®特級。英語検定1級。TOEIC 975点。TOEIC Speaking & Writing Tests 200点+200点。