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【徹底解説】九州大 2020 第1問・その1 ~社会科学系の論文を読みこなす

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福岡市天神の英語専門塾GCA・代表のグッチャンです。今回から昨年度の九州大の入試問題を徹底的に解説します。

九州大は例年,社会科学・自然科学・人文の各分野からバランス良くアカデミックな長文が出題され,ライティングや英訳問題も非常に素直な内容です。

第1問は「社会科学系」の論文

第1問の引用元は「ブレーンストーミング(brainstorming/ブレスト)」に関する心理学実験についての“Harvard Business Review”誌掲載の論文です。同誌はMBA(経営学修士号)のトップスクールであるハーヴァード・ビジネス・スクール発行の経営学誌。

大学で経営学社会心理学(集団力学 Group Dynamics)を専攻すると,こういう内容の論文をガンガン読むことになります。

この文章は8つのパラグラフ(段落)で組み立てられています。

  • 第1パラグラフ ~introduction
  • 第2~第3パラグラフ ~body 1
  • 第4~第7パラグラフ ~body 2
  • 第8パラグラフ ~conclusion

という,教科書的でシンプルな構成です。

さっそく頭から読んでいきましょう。

第1パラグラフ(introduction) ~グループの創造性を高める「ブレーンストーミング」

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ブレーンストーミング(brainstorming)の定義は注で解説されています。見逃さないように。

ブレーンストーミングとは要するに,参加者が批判を恐れず自由にアイデアを出し合って,その流れの中から優れたアイデアを導き出すという会議のやり方ですね。

第1パラグラフでは,ブレーンストーミングの考案者が定めた4つのルールが書かれています(3行目~5行目):

  • Share any idea that comes to mind
  • build on the ideas of others
  • avoid criticism
  • strive for quantity, not quality

広告代理店役員だったオズボーン氏によるこれらのルールは,後の学術的な研究で有効性を認められます。

中でも重要なのが(most notably),4つめのルール「質より量を求めること」

例えば,ある研究では(in one study…下線部1),以下のような結果が出ます:

…brainstorming groups given quantity goals generated both more ideas and significantly higher-quality ideas than those given a quality goal alone.

この部分がそのまま…

問1. 下線部(1) の研究結果を日本語で述べなさい。

の答えになっていますね。

問1 の注意点

正確に読解できるよう,くわしく確認しましょう。

つまり,

「(質は問わずに)とにかくたくさんのアイデアを出すように指示されてブレーンストーミングを行なったグループの方が,質の高いアイデアを出すようにとだけ指示されていたグループよりも,出したアイデアの数が多かった上,出したアイデアの質の面でもはるかに優れていた」

ということですね。

注意点は,

  • quantity (量) / quality (質) を焦って読み間違えない
  • more- / higher … than の比較関係
  • given… で繰り返される後置修飾
  • those が 何を指しているか

の4つでしょうか。

まだイントロのパラグラフを読んだだけですが,

実はここに学術論文を読み解く上での重要なカギが隠されているのです。

(続きます)

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この記事を書いた人

Good Chace Academy 代表/講師。英検1級。TOEICスコア960。1976年生まれ。弘学館中学校・高等学校,国際基督教大学(ICU)教養学部卒。高2で英検準1級合格,高3でTOEICスコア825,TOEFL(旧PBT)スコア590。ICU卒業後,一橋大学大学院商学研究科に進学し経営戦略論・経営組織論を学ぶ。2011年,Good Chance Academy設立。4技能化やアクティブ・ラーニングといった新しい言葉ばかりが先行する風潮の中でも,正確な音読・リスニングの徹底による読解力の養成を基本に置いた指導方針を貫き続ける。