リスニングで英単語が聞き取れない、あるいは自分の発音が通じないとお悩みですか?その原因は、あなたの頭の中にある「母音の箱」の数が足りないからかもしれません。今回は、英語の発音と聞き取りを劇的に向上させる「3つのアの箱」についてわかりやすく解説します。
日本語の『母音の箱』は5個
日本語には「アイウエオ」という5つの母音があります。日本語話者である私たちとって、これら5つの音の区別は大切で、「ア」と言うつもりで「オ」と言ったり、「イ」を「エ」と発音し間違えることはありません。「肩」のつもりで「こと」と発音すると,聞いている側には「琴」にしか聞こえませんし、「へこうけ」と言っても「飛行機(ひこうき)」には絶対に聞こえませんよね。
私たちの耳は聞こえてくるすべての母音を即座にアイウエオのどれかに分類します。頭の中にアの箱、イの箱というように5つの「母音の箱」があって、どんな母音もその5つの箱のどれかに入れて、「これはアだ」「さっきのはオだ」と判定しているのです。
英語の『母音の箱』はなんと20個
英語には日本語よりも多くの母音があります。英語と言っても、アメリカ英語やイギリス英語など世界中には様々な方言があり、母音の数も異なります。
ですが、どの方言にも20個ほどの母音がありますから、英語母語話者の頭の中には約20個の「母音の箱」があって、聞こえてくる母音は20個の箱のうちのどれかに入っていくことになります。
帽子 hat /hæt/ をカタカナ語で「ハット」と言いますね。では、リンガーハットやピザハットの「ハット」も帽子でしょうか。
実はまったく違うのです。Ringer HutとPizza Hutですから,どちらもhut /hʌt/「小屋」です。ちなみに、Ringerとは幕末に長崎にいた英国人貿易商の名前で、Ringer Hutは「リンガーさんの小さな家」という意味です。日本語ではhat も hut も「ハット」と発音するので、「ハ」は私たちの頭の中の「アの箱」に入り、同音異義語ということになります。
しかし、私たちが英語を話すときに hat と hut を区別せずに、そのどちらも日本語のアを使って「hアt」と発音すると、英語母語話者の頭の中ではそれを「æの箱」に入れて hat だとするか、あるいは「ʌの箱」に入れてhut だと判断することになります。彼らの頭の中には「ɑ:の箱」という別の箱もあるので、「hアt」はその箱に入れられて、heart /hɑ:(r)t/、あるいは hot /hɑ:t/ と言っていると思われるかもしれません。
私たちがhatのつもりで「hアt」と言っても,hutやhotと言っていると誤解される可能性があり,hutのつもりで「hアt」と言っても,hatやhotと言っていると判断されるかもしれないのです。
一方、日本語話者の頭には /æ/ の箱も /ʌ/ の箱も /ɑ:/ の箱もなく、「ア」「イ」「ウ」「エ」「オ」の5つの箱しかありません。英語話者が hat /hæt/ か hut /hʌt/ か hot /hɑ:t/ と言うのを聞いた場合、そのすべてが「アの箱」に入ってしまい、hat, hut, hotの聞き分けができません。
3つの『アの箱』を作ろう
私たちは、自分の頭の中に「æの箱」「ʌの箱」「ɑ:の箱」という3種類のアの箱を作る必要があります。そして、発音するときにはそのいずれかの箱から音を出し、聞き取るときにはそのいずれかの箱に分けて入れることができるようにならなければいけません。この「3つのア」を区別できるようになるだけでも、あなたの英語はぐっと上達します。
①「æの箱」
- つづり…a
- 発音… 口を縦横に大きく開いて、アにエの響きを足してェア
- hat, ran, cat, sax, bag, cam, fanned, ramp, travel, hammer
②「ʌの箱」
- つづり…u(ときどきouやo)
- 発音… 口を縦に少しだけ開いてア
- hut, run, cut, sucks, bug, come, fund, rump, trouble, cover
③「ɑ:の箱」
- つづり… o(ときどきaやal)
- 発音… 口を縦に大きく開いて、口の奥の方からア
- hot, Ron, cot, socks, bog, calm, fond, romp, tropical, father

