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「ところてん」から「漆塗り」へ (2)

では「漆塗り」方式の単語学習とはどのようなものでしょうか。

伝統的な漆器の製作には数十もの工程があります。

一度塗って終わりではなく,全体に何度も何度も薄く重ね塗りをすることで深みのある風合いが出せるのです。

単語の暗記も同じです。

一度に完全に覚えようとせずに,サッと「見る」「聞く」ことを何周も何十周もするのです。

例えば10週間で2000語の単語集を学習する場合,


「トコロテン」方式では…

第1週:1~200番

第2週:201~400番

第3週:401~600番

第4週:601~800番

第5週:801~1000番

第6週:1001~1200番

第7週:1201~1400番

第8週:1401~1600番

第9週:1601~1800番

第10週:1801~2000番

…というふうに学習を進めることになります。それで前回書いたような問題が生じるわけです。

一方「漆塗り」方式では…

第1週:1~500番

第2週:501~1000番

第3週:1001~1500番

第4週:1501~2000番

第5週:1~500番

第6週:501~1000番

第7週:1001~1500番

第8週:1501~2000番

第9週:1~1000番

第10週:1001~2000番


のように高速で最低でも3周します。

もちろん,最初から完全に覚えようとすれば時間的にも体力的にも無理です。

単語帳を「見る」だけ。

あるいは付属CDを「聞く」だけ。

英→日でも日→英でも,わからない単語をただチェックするだけ。

ふせんを貼ってもいいし,単語帳のコピーにマーカーを塗ってもいいし,単語の番号を書き出すのでもかまいません。

覚えようとしない。
思い出そうとしない。
ただチェックする。

これは,とにかく一発で暗記する,週テストで満点を取る,というやり方に長年慣れている皆さんにとっては,最初はなかなか身に付けるのが難しい感覚です。

ですが,大量の単語を暗記するには,この感覚を身に付けられるかどうがが実は最初の関門です。

この「漆塗り」方式と「接頭辞+語根+接尾辞」による系統的な理解を併用することで,無敵の語彙力が養成できます。

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この記事を書いた人

Good Chace Academy 代表/講師。英検1級。TOEICスコア960。1976年生まれ。弘学館中学校・高等学校,国際基督教大学(ICU)教養学部卒。高2で英検準1級合格,高3でTOEICスコア825,TOEFL(旧PBT)スコア590。ICU卒業後,一橋大学大学院商学研究科に進学し経営戦略論・経営組織論を学ぶ。2011年,Good Chance Academy設立。4技能化やアクティブ・ラーニングといった新しい言葉ばかりが先行する風潮の中でも,正確な音読・リスニングの徹底による読解力の養成を基本に置いた指導方針を貫き続ける。