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さまざまな音読トレーニング

もくじ

効果的な音読のために

  • 繰り返しますが,音読とはただ漫然と声に出して読むことではありません
  • また音読英語学習の手段です。「音読」という分野があるわけはありません。
  • それぞれの音読の目的をしっかりと意識し,注意事項を守って練習してください
  • 十分な量の音読を習慣化することが英語学習のカギです。
  • “音声” 中心の音読と “意味” 中心の音読をバランスよく練習しましょう。

“音声” 中心の音読トレーニング

英文の正確な発音やリズム・イントネーション(抑揚)を習得するための音読トレーニングです。ただし,英語は呪文ではありません。構文や文法・意味内容を完全に理解した上で行なうことが前提です。

近年は,国際共通語としての英語(Globish)の観点から,発音の正確さ(accuracy)よりカタカナ発音でも堂々と話すコミュニケーション能力やメンタルの強さ(fluency?)の方が重要だという意見もあります。

しかし正確な発音は,文法的な正確さ・適切な表現の選択と同じように,コミュニケーション(意思疎通)の精度を確実に高めます。

準備①: モデル音声の暗記

  • 発音プリントを見ながら,音声教材を集中して繰り返し聴きます。
  • 好きな歌の歌詞カードを見たときにメロディーやアーチストの歌声が頭の中で自動再生されるのと同じレベルまでモデル音声を耳で暗記してください。

準備②: 発音の確認(子音→母音→文章全体)

  • 覚えたモデル音声をなんとなくマネするのではなく,まずは子音だけを抜き出して実際に声に出し,正確な発音を確認してください(発音プリントの黒字の部分)。
  • 次に,母音だけを抜き出して同じく正確な発音を確認します(発音プリントの赤・青字の部分)。
  • 最後に文章全体の発音をゆっくり正確に確認します。
  • 面倒かもしれませんが,この手順によってつづりと発音の関係が正確に把握できるようになり,リスニングや音読練習がリーディングやライティングのスキルに直結します。

準備③: アクセント(強勢)とリズムの確認

  • 英語は日本語と比べて,音程よりも音量のアクセント(強勢)が非常に重要な言語です。
  • モデル音声を模倣する練習だけでは最初はなかなか体得できません。
  • そこで,強勢のある母音(赤字の部分)で指やペンで軽く机を叩く,もしくは大げさに首を縦にふる,米国大統領のスピーチのように振り上げた手を前に振り下ろす動作を加えて練習します。

オーバーラッピング(overlapping)

  • 個々の発音とアクセント(強勢)・リズムを正しく確認した段階で初めてモデル音声の模倣練習に入ります。
  • シャドウイングの前段階の練習です。
  • 発音プリントを見ながら,モデル音声を聴き,合わせて音読します。
  • モデル音声を正確に模倣できるよう,まずは音読よりも聞く方を重視し口パクから始めます
  • 耳から口に自然に音が流れ出るイメージで行ないます。

シャドウイング(shadowing)

  • テキストやプリントなどの文字を見ずに,モデル音声に合わせて音読する練習です。
  • あくまで上級レベルの練習です。とりわけ初心者の場合,意味や発音を理解しているのが前提です。
  • 慣れないうちは目を閉じて口(くち)パクで練習すると効果的です。
  • 音読しながら,つづりが映画の字幕のようにまぶたの裏に出てくる状態が理想的です。そのレベルまでシャドウイングを練習すれば,いわゆるディクテーション(書き取り)の練習は不要になります。
  • 慣れてくると,声が出せない図書館や電車・バスの中でも①つづりをイメージしながらリスニングしたり,②マスクをして口(くち)パクすることでシャドウイングに近い練習ができます。

“意味” 中心の音読トレーニング

準備①: マーキング

準備②: 単語・文法・意味内容の把握

  • 文章中で使われている単語・文法すべて理解します。
  • とりわけ時制や代名詞,ディスコースマーカー*に注意してください。わからない部分はこの段階で必ず質問して解決してください。
  • 単語やセンテンスが何を意味しているのか具体的にイメージできない場合は,講師に質問するか,各自のスマホ・電子辞書などで調べてください。グーグルのイメージ(画像)検索が有効です。

*文章の流れを決める接続詞やその他の表現。however, firstly, because, for example, in addition など。

準備③: 場面設定

  • まず,学習する文章がどのような場面で語られているのかをきちんと設定します。
  • 少なくとも ① 誰が(who) ② 誰に対して(whom) ③ 何のために(why) 語っている内容(what)なのか,練習の前に具体的に考えてください。
  • 可能であれば,④ いつ(when) ⑤ どこで(where) ⑥ どうやって(how) 語っているのかまでイメージすると効果的です。
  • 場面設定を伴わない音読練習はただの丸暗記になってしまいます。本来の学習効果が得られないので注意してください。

リード&ルックアップ(Read & Look up)

  • 直読プリントで日本語を目に入れながら,単語・熟語ひとつひとつの意味を英語の語順のまま理解できるスピードで,フレーズごとに声に出して読みます(read)
  • スムーズに言えるまで数回繰り返します。英文を“暗記する”というより”体にしみ込ませる”イメージです。
  • 次に,プリントから目を上げて(look up),「唱える」のではなく「伝える」意識で繰り返し声に出します。
  • うまくできない場合は,じっと考え込まずにもう一度直読プリントに戻ります。
  • 場面設定がうまくイメージできない場合は,家族や友人・ペット・ぬいぐるみ・フィギュア・好きなアイドルのポスターなどに向かって練習すると効果的です。
  • 授業ではサイト・トランスレーション(口頭でのフレーズ訳)という形でチェックするので,どうしても日本語訳の部分を隠して日本語訳をスムーズに言う練習をしたくなると思いますが,絶対にやめてください。日本語の練習ではありません。

Oral Interpretaion (朗読)

  • テキストやプリントを見ながら文章全体を通しで音読します。
  • 暗唱する必要はありませんが,場面設定に応じた適切な姿勢や目線・表情・声のトーンを意識してください。
  • ニュースキャスターが内容に応じていろいろなトーンや表情で原稿を読み上げるイメージです。

反復練習の重要性

  • 人間は忘れる動物です。過去に学習し終えた文章も,主にシャドウイングプレゼンテーション計画的に復習します。
  • シャドウイングがうまくできない部分が必ず出てきます。その部分については,リード&ルックアップに戻って練習し直しましょう。
  • 時間が取れないときは,電車・バスなどでの移動時間を利用してリスニング(口パクでのシャドウイング/イメージでのディクテーション)を習慣にしましょう。
  • ただし,少し前に流行った「聞き流し」ほど意味のない練習はありません。集中してください。
  • 練習を続けていると,いわゆる「英語が英語のまま理解できた」という感覚を感じるときがやってきます。ですが,それはあくまで母語である日本語で意味を理解しながら徹底的に音読練習を繰り返した結果だということを忘れないでください。
もくじ