日本語では非常に多くのカタカナ語が使われていますが、その中には、英語のようだが、実は英語としては使えない、そういう「なんちゃって英語」もたくさんあります。いくつか見てみましょう。
※発音記号の強勢の表示方法
- 第一強勢…強勢のある音節の直前にˈがある。(例) something /ˈsʌmθɪŋ/
- 第二強勢…強勢のある音節の直前にˌがある。(例) recommend /ˌrekəˈmend/
1. ダイエット
ダイエットは英語の diet のことですが、これは「食事」という意味の語です。「減量」という意味はありません。
減量するためにカロリーを減らした diet を食べるとか、病気治療のために減塩した diet を食べるとかいう場合に使う語なのです。be on a diet や go on a diet という形で使いますが、あくまで食事制限をするという意味であって、運動することではありません。
「やせる」は lose weight です。「減量・やせること」は losing weight と言いましょう。
He goes jogging every morning to lose weight.
彼はやせるために毎朝ジョギングをしている。
I can’t eat this. I’m on a diet.
私はこれ食べられません。ダイエット中なので。
My doctor advised me to go on a diet.
お医者さんからダイエットを始めるように勧められました。
2.ソウルフード
カタカナ語のソウルフードは「その地域で愛されている郷土料理」の意味で使われていますが、英語の soul food が指すものは「米国南部の黒人の伝統的な料理。豚の内蔵の煮込み、ナマズのフライ、コーンブレッドなど」です。
どこのどんな料理でも「ソウルフード」と呼んでいいわけではないのです。カタカナ語のソウルフードを英語で言いたいときは comfort food と言いましょう。Comfort food とは、その料理を食べることで精神的に満たされる、心の栄養となる食べ物のことです。
Pork bone broth ramen is comfort food for people in Fukuoka Prefecture.
豚骨ラーメンは福岡県民のソウルフードです。
Are fish and chips comfort food for the English?
フィッシュアンドチップスは英国人のソウルフードですか。
3.グルメ
「北海道はグルメの宝庫」だとか「博多のグルメを食べつくそう!」だとかよく言いますよね。「グルメ=おいしい食べ物」だと思っていませんか。
実は、英語の gourmet は「おいしい食べ物やワインの知識が豊富で、おいしいものを食べて飲むのが好きな人」「美食家・食通」という意味ですからから、a gourmet は人です。当然、gourmet を食べることなどできません。
gourmet はフランス語からの借用語で、/gɔɚˈmeɪ/ と発音します。名詞の前に置く形容詞としてgourmet を使うこともよくあり、その場合の意味は「高級で、高価な、おいしい~」です。「おいしい食べ物」「グルメ」と言いたければ、gourmet ではなくてgourmet foodと言ってください。
Why don’t we try some gourmet hamburgers today instead of going to McDonald’s?
マクドナルドに行かないで、今日はちょっとリッチなハンバーガーにしませんか。
I enjoyed eating Hokkaido’s gourmet food on my trip last month.
先月の旅行で北海道グルメを堪能しました。
Japan is said to be a paradise for gourmets.
= Japan is said to be a paradise for food lovers.
日本は美食家にとって楽園であると言われています。*gourmetsの発音は /gɔɚˈmeɪz/
4. カリスマ
カリスマは英語の charisma からです。この語の発音は /kəˈrɪzmə/ なので注意しましょう。日本語のカリスマは「予備校講師のカリスマ」「アニソン界のカリスマ」のように、「超人気者」や「第一人者」、あるいは「すごい人」などの意味で使われますが、英語の charisma は「人を引き付ける個性的な魅力」と言う意味です。
日本語ではそんな個性を「カリスマ性」と言って、カリスマ性を持つ人を「カリスマ」と呼びますが、英語ではカリスマ性を持つ人は charisma ではなくて、charismatic+名詞 で表現せねばなりません。charismatic の発音は /ˌkerəzˈmætɪk/ です。カリスマ教師→a charismatic teacher、カリスマ美容師→a charismatic hairdresser 、単に「カリスマ」とだけ言いたければ、a charismatic figure や a leading figure、an influential personと言いましょう。figure は「人物」の意味です。
Mary has such charisma that many people trust and depend on her.
メリーにはすごいカリスマ性があり、多くの人たちが彼女を信頼して頼りにしています。
She is a charismatic figure in the fashion industry.
=She is an influential person in the fashion industry.
彼女はファッション業界のカリスマです。