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「英文解釈」は準備運動

福岡市天神の英語専門塾GCA・代表のグッチャンです。特に優秀な理系の高校生、必読の記事です。

難解な構文は『数学の難問』なのか?

難しい構文というのがあります。確かに句や節がたくさん挿入されていたり、形式主語が使われていたり、倒置や省略があったりすると、たとえ十分な語い力があったとしても読解しにくいですよね。

そこで有効なのが、センテンス・ダイアグラム(*図参照)を書いたり、いったんきれいな日本語訳を作ってみたりすることです。

たとえば、以下のような一節を読んでみましょう…

I think it extremely dangerous, so far as Western civilized communities are concerned, to imagine that there are better systems than democracy. It is not so much that democracy is positively good as that it makes impossible certain great evils which are apt to exist under other systems.

…難しいですよね。これをきれいに和訳すると、

私は、西洋文明社会に関する限り、民主主義よりも優れた制度があると考えることはきわめて危険だと思う。民主主義が明らかに優れているからというより、むしろ民主主義以外の制度のもとでありがちなある種の害悪が、民主主義のもとではありえないものとなるからだ

となります(研究社『英文読解の透視図』より引用)。

形式目的語 it や接続詞 that、関係代名詞 which を読み取り、so far as S+V や、not so much ~ as といった構文を見抜き、be apt to~ という表現を知っていて…などなど、高度な英文解釈の技術がないと、ここまでしっかりした日本語にすることはできません。

最近は、コミュニケーション重視の名の下に、このような構文を「実用的ではない」という理由であまり指導しない傾向もあります。

確かにこのようなセンテンスは即座に日常会話に使えるわけではありません。ですが、もう誰も使わない埃をかぶったような文だというのも間違いです。アカデミックな文献や講演・講義などでは普通に使われる構文です。日常会話を超えた高度な英語力を習得したいならば、避けては通れない種類の勉強ですね。

ただし、こういう文を正しく解釈してきれいに和訳したところで満足してはいけないのです。数学の難問の解説を読んで納得することとはまったく違うのです。

どんな難解な構文でも文頭から理解する

なぜかというと、和訳を目的とした英文解釈は結局、漢文の訓読・返り読みと同じだからです。それは初心者が…

I had chances to meet people from many countries.

という英文を、

私は(I)…多くの国からの(from many countries)…人々と(people)…会う(to meet)…機会を(chances)…持った(had)

と後ろからひっくり返して読むのと本質的には変わりません。

このような解釈と和訳の段階で終わっていては、長い文章を速く読むことはできませんし、もし文字ではなく音声として講義やナレーションを聞いている場合はまったく理解できないでしょう。もちろん、ライティングの際にパッと使うこともできません。

ですから、どんなに複雑な構文でも、最終的には頭から理解できるようになるまで繰り返し練習して自分のものにすることが重要なのです。例えば最初に挙げた一節の場合はこういうふうに…

I / think

私は / 思います

it / extremely dangerous,

…それ(のことを) /…きわめて 危険(だと)

so far as

…(この)限りにおいては

Western civilized communities / are concerned,

…西洋文明社会が / 関係している(限りは)

to imagine / that

考える(ことを) / …(こういうふうに→)

there are / better systems

ある(というふうに) / …もっと良い制度が

than democracy.

…民主主義 よりも

It is not so much

(それは) / それほど大きいことではありません

that

(こういうことは→)

democracy is positively good

…民主主義が / 明らかに 優れている(ということは)

as / that

…(これと)同じほどは /…以下のようなこと(と)

it makes impossible

それが / 不可能にする(ことと同じほどは)

certain great evils

…ある種の大きな害悪(を)

which / are apt to exist

…(どのような害悪かというと…それは)  / 存在しがちな

under other systems.

…他の制度のもとでは

———————–

「英文解釈」にもリスニング・音読を

一発ではスムーズに理解できませんね。

だから繰り返しリスニング・音読練習をするのです。

「It is not so much A as B」が難しい構文だからといって、「AよりもむしろB」といった和訳の「公式」に頼る段階で満足してしまわないようにしましょう。

それはあくまで英語のトレーニングの準備段階にすぎません。英語の語順で理解して初めて、本当の意味でその構文を習得したと言えるのです。

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この記事を書いた人

Good Chace Academy 代表/講師。英検1級。TOEICスコア960。1976年生まれ。弘学館中学校・高等学校,国際基督教大学(ICU)教養学部卒。高2で英検準1級合格,高3でTOEICスコア825,TOEFL(旧PBT)スコア590。ICU卒業後,一橋大学大学院商学研究科に進学し経営戦略論・経営組織論を学ぶ。2011年,Good Chance Academy設立。4技能化やアクティブ・ラーニングといった新しい言葉ばかりが先行する風潮の中でも,正確な音読・リスニングの徹底による読解力の養成を基本に置いた指導方針を貫き続ける。