最強”音読”メソッド

和訳主義と戦う

英文和訳と和文英訳だけさせれば,生徒の英語力は完全にわかる,とよく言われます。

まったくその通りで,たとえば京都大の二次試験が伝統的に英文和訳と和文英訳のみで構成されているのは有名ですね。

ただ,それはあくまでテストの段階での話です。試験問題が和訳・英訳だからといって,和訳・英訳の練習だけ行なっていればいいというわけではないのです。

5年ほど前,GCAの体験授業を受けられた高校生の話をします。

当時の私の指導力の未熟さ,そしていまだにはびこる和訳主義の根深さをあらためて実感した経験でした。

結論から言うと,その高校生がGCAに入会することはありませんでした。どうしてか?

GCAではとにかく英文を頭から理解するように指導します(いわゆる「直読」)。

繰り返しますが,そうしないと速く英文を読むこともリスニングもできないし,さらには英作文やスピーキングのスキルも身につかないからです。

だから,和訳の練習を犠牲にします。英文の意味さえ正確に理解すれば,母語である日本語の文は作ることができるはず,あとは国語力の問題,という発想です。

そのため,授業で「キレイな」和訳を教えることもありません。生徒さんに和訳を要求することもほとんどありません。

キレイに和訳するクセがついてしまうと,どんどん本物の英語力から遠ざかってしまい,言ってみれば,漢文の授業のようになってしまうからです(漢文は読めるだけでOKですが,英語は読んで・聞いて・書いて・話せるようになる必要があります)。

それで,その体験授業でもいつもどおり,

Your eyes can often show more information than just words.

という英文を,

人の目は (Your eyes)

あらわし得ることがよくある (can often show)

-何を??

もっと多くの情報(を) (more information)

-何より??

ただの言葉 / よりも (than just words)

…というふうに分解しました。決して「目の方がただの言葉よりも多くの情報をあらわすことがよくある」とは教えません。そして,例によってリスニング・音読をさせました。

すると,何回やっても,何回解説しても,「わかりません」のひと言…。しまいにはだまりこんでしまい,とても悪い空気が流れました。

そう,その高校生は英語を英語の文法(語順)ではなく,日本語の文法で理解していたのです。つまり,

目はよく表すもっと多くの情報よりただの言葉

というふうに。わからないのも当然です。

事前に,日本語とはまったく異なる英語の語順の仕組み,

そして,

和訳=理解では決してない

ということを言葉を尽くして説明しておくべきでした。

いまでも折にふれて思い出しては悔やまれる経験です。願わくば,その高校生がどこかで良い先生に出会い,英語を好きになってくれていればいいのですが。