スコアアップに悩む皆さんへ
TOEICのスコアが伸び悩んでいる大学生や会社員の方から相談を受けることがよくあります。
就職や社内での昇進の条件として,一定のスコアが要求されることの多いTOEIC。
大きな書店に行けば,TOEIC対策を謳っているものだけで実に1,000冊以上も参考書・問題集が並んでいます。
英語の勉強から久しく離れていると,一体何から手をつけていいのか途方にくれてしまうのも無理はありません。
そもそもTOEICとは
TOEICとはそもそも,TOEFLやSAT(全米大学進学適正試験)などを運営している米国の非営利団体ETS(Educational Testing Service)が日本の経団連と通産省(現・経産省)の要請を受けて開発した試験です。
ですからその目的は,日本人の会社員や大学生が英語でビジネスを行なうのに十分な英語力を身につけているかを測定することです。
ところが,スコアアップのためのテクニックが日本の受験産業によって徹底的に研究され,英語試験として骨抜きにされてしまった時期もありました。
「選択肢の文中にcoffeeという単語が入っていたらそれは正解ではない」といった出来の悪いジョークのような解答テクニックを,多くの日本人が真剣に勉強していたのです。
そのため,TOEICのスコアとその人の実際の英語運用能力が大きく乖離してしまうケースが多発してしまいました。
TOEICの高い信頼性
それでも2006年の大幅な改変を経て,TOEICは今なお信頼性の高い英語試験の地位を保っています。
(TOEICの信頼性について,広い意味での「ビジネスコミュニケーション能力」と「(狭い意味での)英語力」を混同した主張がよく見受けられますが,ここでは割愛します)
TOEICはきわめて実践的な英語試験です。
なぜなら,内容的には大学入試や英検2級レベルでありながら,圧倒的に問題の量が多く,それに対する解答時間が短いからです。
つまり,たとえば文法の穴埋め問題で
「えーと,助動詞willがあるから…その後には動詞の原形が来ると。…だから-ing とか -ed で終わっている選択肢は間違いで…」
…のようにじっくり考える余裕は一瞬たりとも与えられていません。
それはもちろん,実際に英語を使う場面で,そんなことを悠長に考えながら相手の話している内容を理解したり,自分の意見を述べたり,大量の書類を正確に読むことなどできないからです。
スコアが上がらない本当の原因
したがって,TOEICのスコアがなかなか伸びない人の大半は,
設問の正解を選ぶ文法知識や語彙力が足りないのではありません。
そもそも制限時間内に最後の問題までたどり着けていない
のです。
毎月のようにTOEICを受験し,数十点単位のスコアの増減に一喜一憂するTOEICerと呼ばれる人たちがいますが,
数十点というのは990点満点のTOEICでは誤差範囲といっても良いでしょうし,
どんな英語の試験であっても,たった1か月で魔法のように何割も得点が上がることは基本的にありえません。
スコアアップのためにやってはいけない3つのこと
では,どうすればスコアが上がるのか―。
その前にまずあなたがもうこれ以上取り組まなくていいことを3点:
① 公式問題集を買うこと・解くこと
…もう出題形式は十分にわかっているはずです。いくら問題を解いても力はつきません。
② 文法問題の解説書にじっくり取り組むこと
…高校1年レベルの文法すらあやしい人は別ですが,特に受験をクリアしたばかりの大学生などはすでに十分な文法知識を持っています。繰り返しますが,内容的にはTOEICよりもたいていの大学入試問題の方が難しいのです。
③ 出題頻度順の単語集を頭から何周も回すこと
…TOIECを含むどのような英語試験でも,「問. survey / 答. 調査」といった単純な単語テストは一切出題されません。単語の意味合いは話の流れで変化しますし,語法や文法(単語の並べ方・変形ルール)とセットで身につけていなければ英文を正確に理解することはできないのです。
ではどうやって勉強すればいいのか
では,どのような準備をすればよいのでしょうか―。
ポイントは以下の3つ:
① リーディングとリスニングを区別しない
多くの人が「リスニングが苦手」で「リーディングで時間が足りない」とスコアの伸び悩みについて自己分析しています。
ところが実は,この2つの問題の原因は同じです。
つまり,
英語の語順で(頭から)理解できないからリスニングでつまずくのであり,
リーディングでもつい後ろから「返り読み」をしてしまうから時間が足りない
のです。
そこで,リーディングの学習でも必ず音声教材を併用しましょう。
文字は消えませんが,音声は一瞬で消えます。
音声を併用することではじめて,英語の語順で素早く正確に理解するトレーニングができるのです。
もちろん,リーディングの学習でふだんから音声教材を使っていれば,わざわざ「リスニング対策」などしなくてもいいのはわかりますね。
② TOEICで想定されているビジネス会話・文書を教材にする
TOEICでは英語でのビジネスシーンが想定されています。
それで、「新入社員向け研修資料」「新製品開発会議の議事録」といった、とりわけビジネス経験のない大学生などにはイメージしにくい問題文も出てきます。
ですからビジネス用語やビジネス英語特有の表現に慣れる必要があります。
ただ,頻度順の単語集を使って「management=経営」などと丸暗記するだけでは,単語がわかっていても問題文の会話やアナウンス・文書の話の流れ(文脈)が理解できるようにはなりません。単語は必ず文章の中で身につけましょう。
公式問題集ももちろんビジネスシーンで構成されていますが,問題を「解く」前に,まずは様々なビジネス会話・文書に触れ,内容を正確に理解するのが先です。
③ リーディング素材を繰り返しリスニング・音読
テキストの本文(リーディング素材)を読み,構文・単語を理解する作業は,実はあくまで学習の準備段階にすぎません。
本文で使われている単語・語法・文法・構文だけでなく,それがどのようなシーンで行なわれている会話なのか,何を目的とした文書なのかまで理解した上で,
その本文と文中の単語・表現・文法・構文が完全に自分の英語表現として身につくまで 繰り返し音読・リスニングしましょう。
そうすることで,
ワンセンテンスの文法問題でも瞬間的に正解を選べるようになりますし,
読解問題でも文書が書かれた背景がイメージしやすくなります。
もちろん,リスニングでも音声から会話やアナウンスの光景が思い浮かび,すんなり正解が選べるようになります。
ただし,ただ聞き流す・ただ声に出すだけでは十分な学習効果が得られないので注意してください。
リスニング練習のときは本文のシーンを頭の中に映像として思い浮かべる(イメージする),
音読するときはそのパッセージを話している人・文書を書いている人になりきり,相手に伝える感覚をしっかり持って読みましょう。
GCAのTOEICコース
GCAのTOEICコース(大学生・社会人コース)では, 英語の「問題を解く」という表面上の目的からいったん離れ,上記の3つのポイントを徹底したトレーニングで確実なスコアアップを目指します。
さらには一時的なスコアアップだけでなく,本来TOEICが求めているスコアに見合った実力がつくように指導します。