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洋楽で学ぶ英語 ─ 中学生のリクエストで “Baby I…” を文法解説!

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福岡市天神の英語専門塾GCA・代表のグッチャンです。今日は「洋楽で英語を学ぶ」ことについてお話します。洋楽を聴くのは、趣味としてだけでなく、英語学習としても非常に効果的です。好きなアーティストの歌なら、文法や単語も自然と頭に入ってきますよね。

「好き」から始まる英語学習

実際、洋楽好きな生徒さんがカラオケで歌いたい曲を持ってきてくれたときは、その歌詞の発音や意味を授業でじっくり解説することがあります(ただ、残念なことに私は極度の音痴なので、歌い方の指導だけはご容赦ください)

たとえば今日の授業では、アリアナ・グランデの “Baby I” を歌いたいという女子生徒のリクエストがありました。メロディはもちろん素晴らしいですが、英語の表現としても秀逸なラインがたくさん詰まっています。せっかくなので、いくつか紹介しながら、どんなふうに英語の文法や構文が生きているかを一緒に見ていきましょう。


ガチガチの文法用語で解説してみよう

まず、

“Straight up, you got me.

straight は形容詞「まっすぐな」。 straight up は「本当にね」くらいの意味。

“You got me.”

直訳すると、「あなたは / 手に入れたよ /…私を)」、つまり「もうわたしはあなたのとりこ」。

“All in, how could I not be”

もともとの形は…

I am all in.

(わたしは/ (こうだよ→) / すっかりはまってる様子) ≒ I love you.

① まず助動詞 can を追加します…

I can be all in.

(わたしは/ (こうなれるよ→) / すっかりはまってる様子)  

助動詞 can過去形にして仮定法に…

I could be all in. 

(私は/ (こうなれるかもしれないよ→) / すっかりはまってる様子)

否定文にすると…

I could not be all in.

(私は/ (こうなれないかもしれないよ→) / すっかりはまってる様子) 

④ さらに(否定)疑問文に…

Could I not be all in?

(私は/ (こうなれないかもしれないの?→) / すっかりはまってる)

疑問詞 How を加えて反語表現に…

How could I not be all in? 

(どうすればすっかりはまらないことができたというの?)

倒置して…

All in, how could I not be.

(あなたにすっかりはまらずにはいられなかった)

出来上がり!

I sure hope you know

I sure hope

(わたしは / 本当に 願っているよ)

you know

(あなたが / (前の内容を)わかっているのを)

つまり、「わたしの気持ち、わかってほしいなあ」という気持ちですね。

If it’s even possible, I love you more

If it’s even possible

(それがあり得るのなら) ≒ 「この気持ちをわかってくれさえすれば」

I love you more

(わたしは / 好きになるよ /…あなたを /…もっと) ≒「もっと好きになるのになあ」

比較級more が出てきたということは、比較対象があるわけです。 それが…

Than word ‘love’can say it

than : ~よりも

word ‘love’ can say it (”愛”という言葉が / あらわせるよりも /…それを)

つまり「“愛してる”なんてコトバじゃ表現できないくらい」好きになるのに、という意味。

It’s better not explaining

もともとの文は…

Not explaining is better.

(説明しないことが / (こうだよ→) / まし)

強調構文にして…

It’s better not explaining.

(≒コトバなんかじゃ伝わらないよね)

That’s why I keep saying… Baby I

That is (…the reason)

(それが / (こうだよ→) / 理由)

why I keep saying… Baby I

(わたしが / 続ける理由 /…言うことのを /… Baby I と)

つまり「だから、わたしは Baby I …ってだけ言い続けるんだよ」 と言っています。

タイトルでもある Baby I… の baby は、もともとは「赤ちゃん」という意味から「かわいいもの/愛すべきもの」という意味が派生します。

だからこの歌詞の baby は、恋人に呼びかける表現。日本語なら「ねぇ…」という感じでしょうか。すると、Baby I…「ねぇ、わたし…」というニュアンスになります。

主語 I (わたし)の後に、love だの adore だのどんな述語動詞(V)を続けても、自分が恋人を想う気持ちをうまく表現するには足りなくて、言葉につまってしまってるんですね。

でも、そういう強い思いがあるということ自体は伝えたいから、この女性は “Baby I …” とだけ繰り返し言い続けてるんですね。わかりましたか?

『万葉集』にも記されている、時代を超えた「切ない恋心」

以上の解説を書きながら、いい歳した中年男性がいったい何の話をしてるのか? と自分で自分にツッコミを入れつつも、私は以下の『万葉集』の歌を思い出しました:

常人(つねひと)の 恋ふといふよりは 余りにて

我れは死ぬべく なりにたらずや

― 大伴坂上郎女

(意訳: 普通の人が言う「恋」などという言葉ではとても言い足りないこの気持ち…苦しくて死んでしまいそう)

恋人を想う気持ちは古今東西変わらないんですね。

英語だけじゃなくて古文もしっかり勉強しましょう(それと恋愛もたくさんしましょうね)。

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Written by

Good Chace Academy 代表/講師。英検1級。TOEICスコア960。1976年生まれ。弘学館中学校・高等学校,国際基督教大学(ICU)教養学部卒。高2で英検準1級合格,高3でTOEICスコア825,TOEFL(旧PBT)スコア590。ICU卒業後,一橋大学大学院商学研究科に進学し経営戦略論・経営組織論を学ぶ。2011年,Good Chance Academy設立。4技能化やアクティブ・ラーニングといった新しい言葉ばかりが先行する風潮の中でも,正確な音読・リスニングの徹底による読解力の養成を基本に置いた指導方針を貫き続ける。