大学入試改革

高大接続改革の本質 (2)

2020年大学入試改革の解説では,よく以下の2つのポイントが挙げられます。
 
① 知識偏重から思考力・判断力・表現力重視へ
 
② 英語は筆記試験中心から四技能へ
 
間違ってはいないのですが,実は①と②は同じです。というより,①の具体的内容が英語という教科では②となるというだけの話です。
 
これまでの受験英語では,「重箱の隅をつつく」ようなと形容される文法・語法問題や「発音・アクセント問題」という独特なジャンルが成立してきました。それらへの対策も高度に発展し,一般的なルールを実際に使いこなせなくても,出題頻度の高い例外的なルールを知っていることが優先されるという奇妙な状況が当然のこととして受け入れられてきました。
 
中学レベルの簡単な例を挙げると,menの発音は [men] だが,womenは[wumen]ではなく [wimin] だというルールが学校や塾の授業では強調されます。それは基本的には正しいのですが,大半の生徒はそもそも英語の [i] という発音を習わないため,カタカナで「ウィメン」ではなく「ウィミン」だと覚え,読むときもそう発音します。
 
あるいは,have to ~ (~しなければならない)という表現では have の発音は「ハブ」ではなく「ハフ」だと叩きこまれますが,多くの中学生が英語の [v] [f] の発音を習得せずにそういうルールだけを覚え, [habu] や [hahu] と練習している現状は改善する必要があります。
 
 
文法問題でも,
 
The hotel where we stayed was comfortable.
 
The hotel at which we stayed was comfortable.
 
といった関係詞の書き換えに苦労する受験生は多いと思います。
 
ですが,このような問題に熟考の末に正解できても,「私たちが滞在したホテルは快適だった」という内容を即座に英語で表現できない高校生が非常に多いのです。
 
英語試験の四技能化とは,このようなガラパゴス化した「受験英語」を止め,難関大に合格したのに英語がまったく話せない・聞き取れないといった奇妙な状況を改善しようという動きです。
 
もちろん,もう細かいルールを覚えなくてもいいというわけではありません。むしろ,ルールをひたすら丸暗記するだけではなく,実際に使いこなせるレベルまでひとつひとつ自分のものにしていくより高度な学習が必要とされているのです。
 
英語という教科においても「知識から思考・表現へ」ではなく「思考・表現に耐えうる知識の習得へ」というのが知識偏重からの脱却の本質です。